ムラカワコラム

焼付塗装とは?方法や工程・使える金属などの基礎知識をまとめて解説

焼付塗装とは?方法や工程・使える金属などの基礎知識をまとめて解説

焼付塗装とは、主に鉄、アルミやステンレス、アルミダイキャスト、亜鉛ダイキャスト、真鍮などの金属の表面保護や見た目、質感の向上を目的として、積極的に行われる塗装法の一つです。そこで今回は、さまざまな品目の塗装に対応する私たちムラカワが、方法や工程はもちろん、特徴や対応可能な金属の具体例まで、焼付塗装の基礎知識について解説していきます。

金属への塗装方法についてお悩みの方、今後依頼を検討するにあたり、焼付塗装の基礎知識を知っておきたいという方は、ぜひ参考にご覧ください。

焼付塗装とは?塗装方法の定義

焼付塗装とは、塗装した素材を熱風式乾燥炉と呼ばれる設備に入れて100度以上の高温で加熱し、塗膜を急速に硬化・乾燥させる塗装方法の総称です。塗料を被塗装物に塗布する方法としては、手吹き塗装や静電粉体塗装、電着塗装、ロータリー塗装など複数の手法が使われます。

なお焼付塗装には、高温下で希釈溶剤が抜けて熱重合反応を起こす専用の樹脂塗料が使われており、焼付塗装の種類は、この塗料の種類を基準に分類するのが一般的です。ムラカワでは、熟練の職人による手吹き塗装にて、以下4種類の樹脂塗料を用途や被塗装物によって適切に使い分けながら、焼付塗装に対応しています。

  • メラミン樹脂焼付塗装
  • アクリル樹脂焼付塗装
  • 一液ウレタン樹脂焼付塗装
  • フッ素樹脂焼付塗装

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焼付塗装の大まかな工程

焼付塗装がどのような塗装方法なのかがわかったところで、次は、焼付塗装の工程について、確認していきましょう。焼付塗装では、使用する塗料の種類や塗膜の形成方法、また被塗装物の性質等に関わらず、基本的に以下4つの工程に沿って塗装作業を進めていきます。

  1. まずは素材表面の油脂成分を除去し、被塗装物を脱脂する
  2. 続いて塗装する面のサビや汚れ、ひび割れ、ゴミ等を除去して素地調整を行う
  3. 素材と塗料との密着度を上げる効果があるプライマーを、下地剤として塗る
    (上塗りする塗料の種類や塗装会社によっては、ここで一度焼き付ける)
  4. その後、先述したような樹脂塗料を上塗りして、最終の焼付乾燥を行う

混同されやすい「強制乾燥」との違い

焼付塗装と同じく、塗膜を熱風式乾燥炉で乾燥させる塗装方法には「強制乾燥」もあります。

強制乾燥とは、被塗装物に塗膜を形成した後、熱風式乾燥炉に入れて100度以下の低温で乾燥を促す塗装方法のことです。具体的な温度は塗料の種類、また塗装会社により変わってきますが、ムラカワで二液型ウレタン樹脂塗装を行う場合は、およそ80度で強制乾燥させています。

焼付乾燥の依頼・相談を検討中という方は、焼付乾燥の基本知識と合わせ、強制乾燥との違いについても覚えておくと良いでしょう。

【関連情報】ムラカワで塗装可能な品目や事例・仕様と量等のご紹介はこちら

焼付塗装のメリット・デメリットとは

ここからは、焼付塗装で金属を塗装することのメリット・デメリットについて、それぞれ紹介していきます。自社製品に焼付塗装を採用するかどうかのご判断に、ぜひお役立てください。

焼付塗装のメリット

  • 塗膜の乾燥と硬化が数十分で完了するため、短納期での納品にも柔軟に対応できる
  • 仮に二度塗りを実施しても、数日かけて自然乾燥させる場合に比べて早く仕上がる
  • 自然乾燥に比べて塗料の密着度が高く、塗膜が硬くなるため表面に傷や跡が残りにくい
  • 使用する樹脂塗料の種類により、外観の美しさや耐久性等をコントロールしやすい

焼付塗装のデメリット

  • 焼付塗装に適した専用の塗料、熱風式乾燥炉等の大型設備がなければ実施できない
  • 100度以上の高温で熱する必要があるため、熱に弱いプラスチック等には使えない

【関連記事】焼付塗装と粉体塗装の違いって? それぞれの特徴やメリット・デメリットは?

【種類別】ムラカワで対応可能な焼付塗装の特徴

ここからは、ムラカワでの過去の実績をもとに、焼付塗装が可能な素材や製品の具体例、また種類別の機能、特徴、焼付の温度と時間の目安について紹介していきます。自社の製品に焼付塗装が使用できそうか、またどの種類の焼付塗装が適していそうかをご検討する際の参考として、ぜひご確認ください。

メラミン樹脂焼付塗装の特徴

メラミン樹脂焼付塗装とは、焼付塗装用の塗料の中で最も一般的、かつ安価とされるメラミン樹脂塗料を使用した焼付塗装の種類です。紫外線に弱いという特性があるため、屋外での使用を前提とした製品には使用されません。対応可能な金属や製品の具体例としては、屋内用の建材やロッカー等の事務用品のうち、アルミや鉄、ステンレス等の金属製の物が挙げられるでしょう。

なお、一般的なメラミン樹脂焼付塗装の耐用年数は、3〜5年です。またムラカワでの焼き付け乾燥時の温度・時間の目安は、120〜135度で30分程度としています。

アクリル樹脂焼付塗装の特徴

アクリル樹脂焼付塗装とは、先述したメラミン樹脂塗料よりも耐候性に優れたアクリル樹脂塗料を使った焼付塗装の種類です。一般的な耐用年数の目安は5〜8年で、屋外に設置することを前提としたカーテンウォールや看板等の大型製品の他、車や電気機器、工業製品、屋内用の金属部品などに至るまで、幅広く使用されています。

対応可能な素材の具体例としては、アルミや鉄等の金属製品が挙げられますが、亜鉛やメッキ品への対応は原則不可です。なおムラカワでの焼付乾燥時の温度・時間の目安は、150〜160度で30分ほどとしています。

一液ウレタン樹脂焼付塗装の特徴

一液ウレタン樹脂焼付塗装とは、焼付塗装専用の塗料の中でも比較的高価なウレタン樹脂塗料を使用した方法です。ウレタン特有の艶感を出しやすく、耐候性や耐摩耗性が高いのが特徴で、建材をはじめとする金属商品の塗装に幅広く使用されています。なお一液ウレタン樹脂焼付塗装は、強制乾燥の説明の際に紹介した「二液型ウレタン樹脂塗装」と混同されやすいですが、両者は異なる手法です。塗装業者にオーダーする際には、十分に注意しましょう。

ちなみに、一液ウレタン樹脂焼付塗装の耐用年数の目安は、7〜10年です。また、ムラカワでの焼き付け時の温度と時間の目安としては、150〜160度の温度で30分ほどとしています。

フッ素樹脂焼付塗装の特徴

フッ素樹脂焼付塗装とは、ムラカワが取り扱う焼付塗装の中で最も高性能、かつ高価なフッ素樹脂塗料を使用した方法です。耐候性、耐熱性、耐汚染性に極めて優れている他、耐用年数も15〜20年と長く、工業機械や屋根、外壁等の金属商品全般や一部の樹脂製品に使用されます。

なおフッ素樹脂塗料には、二液常温型・焼付硬化型の2タイプがあり、ムラカワではお客様のご要望や製品・素材の性質、制作の程度などを基準に使い分けています。また焼付温度・時間の目安は、170〜180度で30分ほどです。

【関連記事】焼付塗装をする際の温度・時間の目安は?塗料の種類別に分かりやすく解説

焼付塗装の不良品・コストを減らすには?ムラカワでの対策

焼付塗装の際には、焼付乾燥時の塗膜の硬化不良やゴミ・ブツが入り込むことによる不良品、またこれによる余計なコストが発生してしまいがちです。そこでムラカワでは、塗装の現場において以下のような対策を講じ、焼付塗装時の不良品とコストの削減に取り組んでいます。

  • 原則として、窯の着火は被塗装物や塗料の種類、塗膜の厚みをよく知る塗装者本人が行う
  • 見た目不良の原因となるゴミや汚れは、必ず事前にエアブローで落として作業にあたる

自社製品への焼付塗装の可否や、対応可能な素材、納期の目安、必要な費用等について聞きたいこと、気になることがありましたら、ぜひ私たちムラカワまでお気軽にお問合せください。

【関連記事】焼付塗装の料金って?価格を決める要素や見積りについて解説

焼付塗装に関するご相談は確かな知識と技術の「ムラカワ」まで!

ムラカワでは広島市安佐北区を拠点に金属焼付塗装やメラミン塗装をはじめ、アクリル塗装、ウレタン塗装、フッ素塗装、粉体塗装などさまざまな塗装に対応しています。

最新機械にも負けない職人技で、目指しているのは世界一の塗装屋です。
「確かな技術で明日を彩る」をモットーに、日々社員一人一人が塗装の知識を深め、技術や品質の向上を求めながら適正価格でお客様が信頼できるサービスを提供するよう努めています。

「こんな特殊塗装をお願いしてみたい」「大量の塗装に対応してほしい」など、ご要望に沿った提案をさせていただきますので、どんなお問い合せでも気軽にご相談ください!