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ムラカワコラム

粉体塗装は溶剤塗装より錆びるのが遅い!防錆能力が高い理由や耐用年数の目安とは?

粉体塗装は溶剤塗装より錆びるのが遅い!防錆能力が高い理由や耐用年数の目安とは?

一般的に粉体塗装は、溶剤塗装に比べて耐食性が高く、錆びるのが遅いと言われています。

そこで今回は、職人による手吹き塗装にこだわり、幅広い品目の塗装に対応するムラカワが、粉体塗装が錆びにくいとされる理由や具体的な耐用年数の目安について解説していきます。

自社製品の塗装方法を検討するにあたって、特に耐食性や耐候性、耐久性の高い方法を探しているという方は、ぜひ参考にご覧ください。

改めて確認!粉体塗装の定義や特徴

改めて確認!粉体塗装の定義や特徴

まずは、粉体塗装という塗装法の定義や大まかな工程、特徴について確認していきましょう。

別名「パウダーコーティング」とも呼ばれる粉体塗装は、顔料、樹脂、添加剤を粉末状にした粉体塗料を使用する塗装方法の総称です。

具体的には、プラス電気を帯電させた被塗物にマイナス電気を帯電させた塗料を吹き付ける「静電粉体塗装」か、塗料を流動させた容器に熱した被塗物を入れ、その熱で塗膜を形成させる「流動浸漬塗装」のいずれかの方法で塗装します。

また塗膜を形成した後は、熱風式乾燥炉と呼ばれる窯に入れて200度前後で焼き付け、塗料を溶かして乾燥・硬化させます。このように、最終的に焼付乾燥の工程を経ることから、広義では粉体塗装も焼付塗装の一種であり、塗装業者によっては焼付塗装と呼ばれることもあります。

【関連記事】焼付塗装と粉体塗装の違いって? それぞれの特徴やメリット・デメリットは?

粉体塗料で塗装を行う粉体塗装に対して、液状の塗料を使った塗装法は溶剤塗装と言います。

この溶剤塗装と粉体塗装を比較した際の大きな違いとしては、人体や地球環境に与える影響が挙げられるでしょう。実は粉体塗料には、一般的な溶剤塗料に含まれている有機溶剤と、有機溶剤から発生するVOC(揮発性有機化合物)が、ほとんど含まれていません。

VOCは中毒症状や公害の発生、また大気や水質の汚染原因にもなるとされる物質であるため、粉体塗料を使う粉体塗装は、人体と地球環境の両方にやさしい塗装方法だと言えるでしょう。

粉体塗装の防錆能力は溶剤塗装の2〜3倍!

また、粉体塗料によって形成される塗膜の防錆能力の高さも、粉体塗装の大きな特徴です。

一般的に、粉体塗装された製品の防錆能力は、溶剤塗装されたものの2〜3倍とされています。

粉体塗装は、過酷な環境での使用が想定されるガードレール等の屋外製品をはじめ、水分の侵入や錆びの発生によって危険が及ぶ可能性が高い家電等の金属製品にとって、特にメリットの多い手法だと覚えておくと良いでしょう。

【関連記事】粉体塗装とは?メリット・デメリットや塗料の種類による特徴を解説

粉体塗装は錆びるのが遅いとされる理由は?

粉体塗装は錆びるのが遅いとされる理由は?

粉体塗装が溶剤塗装よりも錆びにくく、2〜3倍もの期間長持ちする理由としては、大きく以下の3つが挙げられます。

粉体塗装が錆びにくい理由①塗料の付着率が高く塗膜が厚いから

粉末状の塗料を使用する粉体塗装は、溶剤塗装に比べエッジ部への付着性に優れており、一度塗りでも均一に、かつ60ミクロン以上の高膜厚な塗膜を形成しやすいという特徴があります。

一般的に塗膜は、厚ければ厚いほど製品表面の防錆性などの保護性能が高くなるとされます。
また均一に塗りやすいということは、溶剤塗装で同じ高膜厚の塗膜を形成した場合に比べ塗料のタレやタマリ、ピンホール等の塗りムラが発生しにくいとも言えるでしょう。

厚くムラの少ない塗膜が、被塗物表面と空気の接触をしっかりと遮断してくれることこそ、粉体塗装した金属製品が錆びにくくなる代表的な理由の一つなのです。

粉体塗装が錆びにくい理由②塗膜が硬く保護性能が高いから

焼付乾燥の工程を経て融解・軟化した後、化学反応によって強固に密着した粉体塗装の塗膜は非常に硬く、防錆性能はもちろん、耐衝撃性や耐熱性、耐候性にも優れているとされます。

そのため粉体塗装された製品の表面は、屋外等の過酷な環境にさらされても傷が付きにくく、塗膜の中への水分や塩分の侵入を防いでくれます。粉体塗装製品の錆びにくさは、塗膜の厚みだけでなく表面の強度・硬度によるところも大きいと理解しておきましょう。

粉体塗装が錆びにくい理由③塗膜の柔軟性が高く割れにくいから

製品表面の塗膜が錆びる原因の一つに、天候や気温の変化による被塗物金属の伸縮に塗膜が追いつかずにひび割れ、そこから水分などが入って腐食が進み剥がれるというものがあります。

しかし粉体塗装では、製品の用途や想定される使用環境によって粉体塗料の種類・成分を使い分けることにより、塗膜に高い柔軟性を付与することも可能です。粉体塗装によって作られた柔軟性の高い塗膜は、温度変化等による金属の伸縮にも耐えることができるため、金属製品が錆びるスピードを遅らせるのに大いに役立っているのです。

なお、塗膜のサビやひび割れが起こりにくいとされる粉体塗装製品であっても、塗膜が剥がれてしまうこともあります。どのような時に粉体塗装の塗膜が剥がれてしまうのか、また剥がれが起こらないようにするためのムラカワでの対策については、以下の記事をご確認ください。

【関連記事】粉体塗装の剥がれはなぜ起きる?対策方法や具体的な事例も紹介

ムラカワによる粉体塗装が錆びるまでの耐用年数の目安

最後に、ムラカワにて手吹き塗装で粉体塗装を行った場合に塗膜が錆びる、剥がれる等するまでの耐用年数の具体的な目安について、紹介していきます。粉体塗装の耐用年数は、使用状況や塗料の種類、グレード、塗り重ねる回数等によっても変わってきますが、だいたい10年前後です。自社製品への塗装方法を検討・選択する際の参考として、覚えておくと良いでしょう。

なおムラカワでは、主に以下2種類の粉体塗料を使い分け、静電粉体塗装に対応しています。

エポキシポリエステル系粉体塗料 塗膜、外観、薄膜性、耐熱性、補修塗料性、経済性に優れた粉体塗料。塗膜硬度や耐薬品性の面ではエポキシ系に劣るが、耐食性や耐候性はエポキシ系と同等の性能を持つのが特徴。薄膜仕上げを希望される場合の粉体塗装、または屋内製品に使用されることが多い。
ポリエステル系粉体塗料 耐食性、耐候性、耐薬品性の他、塗膜硬度や外観向上の面でも優れた粉体塗料。性能的にバランスの取れた種類であり、屋内・屋外製品ともにさまざまな分野で使用される。

【関連情報】ムラカワで対応可能な塗装品目、塗料の種類等についてのご紹介はこちら

ただ上記以外にも、お客様のご要望に合わせて他の樹脂が含まれている粉体塗料を使用することも、もちろん可能です。上記をはじめ、エポキシ系粉体塗料、アクリル系粉体塗料、アクリルポリエステル系粉体塗料、フッ素系粉体塗料等を使った静電粉体塗装に対応できる塗装業者を探しているという場合も、ぜひ一度、私たちムラカワまでご相談ください。

静電粉体塗装に関する各種ご相談は、確かな知識と技術の「ムラカワ」まで!

ムラカワでは広島市安佐北区を拠点に金属焼付塗装やメラミン塗装をはじめ、アクリル塗装、ウレタン塗装、フッ素塗装、粉体塗装などさまざまな塗装に対応しています。

最新機械にも負けない職人技で、目指しているのは世界一の塗装屋です。
「確かな技術で明日を彩る」をモットーに、日々社員一人一人が塗装の知識を深め、技術や品質の向上を求めながら適正価格でお客様が信頼できるサービスを提供するよう努めています。

「こんな特殊塗装をお願いしてみたい」「大量の塗装に対応してほしい」など、ご要望に沿った提案をさせていただきますので、どんなお問い合せでも気軽にご相談ください!