ムラカワコラム

焼付塗装をする際の温度・時間の目安は?塗料の種類別に分かりやすく解説

焼付塗装をする際の温度・時間の目安は?塗料の種類別に分かりやすく解説
主にアルミやステンレス、真鍮、亜鉛ダイキャスト、アルミダイキャスト等の金属の表面加工に使われる焼付塗装では、塗料を吹き付けた後に高温で乾燥させ、塗膜を熱硬化させます。

そこで今回は、ムラカワで焼付塗装を行う際の温度・時間の目安について、焼付温度を変更する基準や、強制乾燥させる場合との温度の違いにも触れながら、まとめて紹介していきます。

焼付塗装とは?焼付温度・時間を設定する際の基準は?

焼付塗装とは、吹き付けた塗料を100〜200度で加熱し乾燥・硬化させる塗装方法のことです。
高い温度で熱することによって塗料に含まれる希釈溶剤が抜かれ、樹脂成分が熱重合反応と呼ばれる化学反応を起こすことで、塗膜の密着度や硬度が上昇するメカニズムとなっています。

このように、専用の塗料と熱で塗膜を急速に乾燥・硬化させる焼付塗装には、短期間での納品に対応しやすいというメリットがあります。また、塗料が自然乾燥するのを待つ一般的な塗装方法に比べ塗膜が硬くなるため、梱包等による傷や跡が残りにくいところも大きな特徴です。

一方で、100度以上の高い温度での乾燥に耐えられる素材にしか使えないところ、焼付に必要な熱風式乾燥炉の設備を持つ業者にしか対応できないところは、デメリットと言えるでしょう。

焼付塗装の温度は塗料の種類によって変わる

焼付塗装は、使用する塗料の種類によって分類するのが一般的です。また吹きかけた塗料を熱硬化させる際にも、使っている塗料の仕様に応じて、熱する温度や時間を調整していきます。

なおムラカワでは、熟練の職人による手吹き塗装にて、以下4種類の樹脂塗料を使った焼付塗装に対応しております。

メラミン樹脂焼付塗装 最も安価、かつ一般的なメラミン樹脂塗料を使用した焼付塗装の種類。コストを抑えながら鮮やかな色の焼付塗装を施すことができるが、紫外線に弱い性質があるため、屋外には不向き。
アクリル樹脂焼付塗装 メラミン樹脂よりも硬度・耐候性が高いアクリル樹脂塗料を使用した焼付塗装の種類。比較的安価である上、屋内・屋外のどちらでも使用できるのが強み。
一液ウレタン樹脂焼付塗装 ポリウレタン樹脂塗料を使用した焼付塗装の種類。耐候性と耐摩耗性の高さ、ウレタン特有の艶感ある仕上がりが特徴。なお、二液型ウレタン樹脂塗装とは異なる手法。
フッ素樹脂焼付塗装 耐候性・耐熱性・耐摩耗性に極めて優れたフッ素樹脂塗料を使用した焼付塗装の種類。大きく二液常温型、低温型、中温型がある他、性能に比例してコストも高くなるのが特徴。

各種の樹脂塗料の特徴や、使用用途の具体例等については「ムラカワで扱う焼付塗装の種類とは?塗料それぞれの種類の特徴について解説」で詳しくご紹介しています。焼付塗装の種類や適切な使い分けについて知りたいという方は、ぜひこちらもご確認ください。

【塗料の種類別】焼付塗装時の温度・時間の目安

【塗料の種類別】焼付塗装時の温度・時間の目安

ここからは、ムラカワにおける焼付塗装時の温度・時間の目安について、具体的に見ていきましょう。

ムラカワが提供する4種類の焼付塗装の設定温度と時間は、それぞれ以下の一覧の通りです。

焼付温度 焼付時間
メラミン樹脂焼付塗装 120~135℃ 30分
アクリル樹脂焼付塗装 150~160℃ 30分
一液ウレタン樹脂焼付塗装 150~160℃ 30分
フッ素樹脂焼付塗装 170~180℃ 30分

焼付塗装した対象物は、上記の温度・時間で熱硬化させた後、粗熱が取れた段階で梱包と発送が可能になります。自然乾燥であれば数日かかることもある塗膜の硬化を数十分で終えられるため、「金属表面に短納期で塗装してほしい」というお客様には、おすすめの塗装方法です。

【関連記事】焼付塗装と粉体塗装の違いって? それぞれの特徴やメリット・デメリットは?

焼付塗装の温度・時間が適切でないとどうなる?

焼付塗装を行う際の温度・時間の設定にミスがあり、各種塗料の仕様に沿ったものでなかった場合には、塗膜の硬化不良等の性能上の不備や、見た目が良くない等の問題が発生します。

ムラカワでは、このような焼付塗装時の温度・時間設定のミスによる不良品の発生を防ぐ対策の一つとして、原則、塗装者自身が火入れを行うようにしています。被塗装物の形状や用途はもちろん、使用した塗料の種類や塗膜の厚みを理解する塗装者本人が火入れすることにより、不良品とコストの削減に取り組んでいるのです。

焼付塗装と強制乾燥の温度の違いについて

焼付塗装と強制乾燥の温度の違いについて

焼付塗装と混同されやすい塗装手法の一つに、強制乾燥があります。強制乾燥は、焼付塗装と同じく塗装後に熱風乾燥の工程を経る塗装方法ですが、乾燥時の温度設定が異なるものです。

具体的には、100度以下の低温で乾燥させる場合を強制乾燥と呼び、その設定温度は塗料の種類や塗装会社によって変わります。ちなみにムラカワでは、主剤と硬化剤と混ぜる二液型ウレタン樹脂塗装において、硬化促進と性能安定化のために、およそ80度で強制乾燥させています。

二液型のアクリルウレタン塗料を使った強制乾燥による塗装は、アクリル樹脂焼付塗装よりも高い耐候性がある上、カラーバリエーションも豊富です。また、熱で変形・変質しやすく焼付塗装に適さないプラスチック製品の塗装も可能なことから、自動車の補修塗装や特殊車両の全塗装、工業製品の塗装に至るまで、幅広い用途で使えるところも特徴だと言えるでしょう。

【関連情報】ムラカワで塗装可能な品目や事例・使用塗料等のご紹介はこちら

焼付塗装に関するご相談は、確かな知識と技術の「ムラカワ」まで!

ムラカワでは広島市安佐北区を拠点に金属焼付塗装やメラミン塗装をはじめ、アクリル塗装、ウレタン塗装、フッ素塗装、粉体塗装などさまざまな塗装に対応しています。

最新機械にも負けない職人技で、目指しているのは世界一の塗装屋です。
「確かな技術で明日を彩る」をモットーに、日々社員一人一人が塗装の知識を深め、技術や品質の向上を求めながら適正価格でお客様が信頼できるサービスを提供するよう努めています。

「こんな特殊塗装をお願いしてみたい」「大量の塗装に対応してほしい」など、ご要望に沿った提案をさせていただきますので、どんなお問い合せでも気軽にご相談ください!