ムラカワコラム

電解着色と焼付塗装の違いを解説!電着塗装や静電塗装と比較した場合の特徴も

電解着色と焼付塗装の違いを解説!電着塗装や静電塗装と比較した場合の特徴も

製品表面の色や質感を変えたり、耐食性を向上させる塗装には、さまざまな種類があります。

そこで今回は、熟練職人の手吹き塗装にて幅広い品目の塗装に対応するムラカワが、代表的な塗装方法でありながら、特に性質が異なる「電解着色」と「焼付塗装」の違いについて解説。
併せて、塗装方法を選ぶ際に電解着色、焼付塗装とともに検討されることが多い静電塗装と電着塗装との違いや特徴についても紹介していきます。

電解着色とは?特徴や他の塗装方法との違い

まずは電解着色がどのような塗装方法なのか、簡単に確認していきましょう。電解着色とは、別名「アルマイト」「電解二次着色」とも呼ばれる着色方法のことであり、その別名の通り、アルミニウムの表面処理に用いられます。

具体的な手法としては、まず硫酸などの電解液を入れた槽の中にアルミニウムを入れて一次電解処理をし、その表面に小さな孔がたくさん空いたアルマイト(陽極酸化皮膜)と呼ばれる層を生成します。次に、錫やニッケルを含んだ液にアルミニウムを浸して電気を流し、アルマイト上の小さな孔に金属の成分を入り込ませることにより、素材の表面を着色していくのです。

塗料を使用せず、アルミに特化した手法なのが大きな特徴

ここまでに見てきた通り、電解着色では基本的に塗料を使用しません。そのため、厳密に言うと塗装の定義には当てはまりませんが、金属表面に着色することが広い意味での塗装と言えることや、仕上げに透明な塗料で電着塗装することもあるため、塗装の一種として扱われることがあります。

ムラカワにおいても、自社工場では電解着色を行っていませんが、協力会社と連携することによりお客様からの電解着色のご相談・ご依頼に対応しております。

また、アルミニウムの性質を利用して行う着色方法であるため、基本的にアルミニウム以外の金属や素材に実施することはできません。これらはいずれも、電解着色だけの大きな特徴であり、他の塗装方法との違いでもあるので、覚えておくと良いでしょう。

焼付塗装とは?特徴や他の塗装方法との違い

対して焼付塗装は、主にアルミやアルミダイキャスト、鉄、ステンレス、亜鉛ダイキャスト、真鍮などの金属の表面に施される塗装方法の一つです。具体的には、高温下で熱重合反応を起こす性質を持つ専用の塗料を被塗装物に塗ったり、吹き付けたりして塗膜を形成した後、熱風式乾燥炉に入れて100度以上の高温で30分ほど加熱し、塗膜を急速に乾燥・硬化させていきます。

使用する塗料の種類によって分類するのが一般的で、ムラカワでは、熟練職人による手吹き塗装にて、以下4種類の焼付塗装に対応しています。

  • メラミン樹脂焼付塗装
  • アクリル樹脂焼付塗装
  • 一液ウレタン樹脂焼付塗装
  • フッ素樹脂焼付塗装

【関連記事】ムラカワで扱う焼付塗装の種類とは?塗料それぞれの種類の特徴について解説

なお焼付塗装とは、最終工程において高温下で焼付乾燥を行う塗装方法の総称であり、塗料の塗り方は関係ありません。溶剤の塗料を使った手吹き塗装であっても、粉状の塗料を使った静電粉体塗装や電槽を使った電着塗装であっても、最後に焼付乾燥の工程が入るものはすべて広義での焼付塗装に該当します。そのため塗装会社によっては、手吹き塗装による焼付塗装や後述する静電塗装、電着塗装等も、すべてまとめて焼付塗装と呼んでいるところもあります。

【関連記事】焼付塗装とは?方法や工程・使える金属などの基礎知識をまとめて解説

静電塗装や電着塗装も、焼付塗装の一種になり得る

静電塗装、電着塗装とは、どちらも電気を利用して塗料を被塗装物に付着させた後、焼付乾燥で塗膜を乾燥・硬化させる塗装方法です。ただ、塗料を付着させる方法には、それぞれ以下のような違いがあります。

静電塗装の塗料の塗り方 被塗装物がプラス電極、塗料がマイナス電極になるように帯電させておき、両極間の静電気を利用して被塗装物に塗料を付着させる。

なお、塗料には液体と粉体のどちらも使用されるが、粉体を使う場合は「静電粉体塗装」と区別して呼ぶのが一般的。

電着塗装の塗料の塗り方 液体塗料を溜めた槽に被塗装物を浸漬させ、被塗装物と塗料が異なる電極になるように電気を流すことで、塗膜を作っていく方法。

カチオン塗装やアニオン塗装も、この電着塗装の一種にあたる。

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ちなみにムラカワでは、焼付塗装と静電塗装(静電粉体塗装)は区別して呼称し、自社工場で塗装対応をしております。一方で電着塗装のご依頼については、電解着色と同様に協力会社と連携することで対応しています。

電解着色と焼付塗装の違いまとめ

電解着色と焼付塗装、それぞれの特徴や具体的な方法がわかったところで、ここからは両者の違いをまとめて確認していきましょう。電解着色と焼付塗装の大きな違いは、以下の2つです。

電解着色と焼付塗装の違い①被塗装物に色を定着させる方法

被塗装物への色の付け方、定着のさせ方は、電解着色と焼付塗装の代表的な違いの一つです。

塗料を使わずアルミ表面を電解処理することによって色を付ける電解着色の手法は、溶剤塗料等を使って塗膜を作り、焼き付けて硬化させる焼付塗装の手法とは、根本的に異なります。

また電解着色には、金属で化学変化させるという着色方法のために、出せる色に限りがあるという弱点もあります。対して焼付塗装は、塗料の種類によって色や艶感、性能をある程度コントロールできるため、金属商品のカラー展開やデザインに幅を持たせたい時におすすめです。

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電解着色と焼付塗装の違い②使用可能な素材・製品の違い

先述した通り、電解着色はアルミだけに特化した着色方法です。対して焼付塗装は、アルミを含む幅広い金属、また100〜200度の高温に耐えられる一部の樹脂製品に対しても実施することができます。

なおアルミは、他の金属に比べ塗料の密着性が低いことから、焼付塗装が難しい金属だと言われています。そのためムラカワでは、塗装前の研磨を丁寧に行うことでアルミ表面を適度に傷つけて密着性を確保し、焼付塗装においても塗装不良が起こらないように対策しております。

さまざまな金属製品の焼付塗装、静電塗装、電着塗装はもちろん、アルミニウムの電解着色についても当社で対応が可能です。自社製品の塗装方法について相談したい、適切な方法や塗料を提案してほしいとお考えの方は、ぜひ一度、お気軽にムラカワまでお問合せください。

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塗装に関する各種ご相談は確かな知識と技術の「ムラカワ」まで!

ムラカワでは広島市安佐北区を拠点に金属焼付塗装やメラミン塗装をはじめ、アクリル塗装、ウレタン塗装、フッ素塗装、粉体塗装などさまざまな塗装に対応しています。

最新機械にも負けない職人技で、目指しているのは世界一の塗装屋です。
「確かな技術で明日を彩る」をモットーに、日々社員一人一人が塗装の知識を深め、技術や品質の向上を求めながら適正価格でお客様が信頼できるサービスを提供するよう努めています。

「こんな特殊塗装をお願いしてみたい」「大量の塗装に対応してほしい」など、ご要望に沿った提案をさせていただきますので、どんなお問い合せでも気軽にご相談ください!