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ムラカワコラム

粉体塗装とは?メリット・デメリットや塗料の種類による特徴を解説

粉体塗装とは?メリット・デメリットや塗料の種類による特徴を解説

塗装方法は、使う塗料の種類によって大きく「溶剤塗装」と「粉体塗装」に分類できます。

そこで今回は、経験豊富な職人の手吹き塗装にてさまざまな手法・品目の塗装に対応するムラカワが、粉体塗装のメリット・デメリットや特徴について解説していきます。自社製品にどのような塗装を施すべきか悩んでいるという方や、粉体塗装がどのような塗装方法なのか知っておきたいという方は、ぜひ参考にご覧ください。

粉体塗装とは?特徴や塗装可能な素材は?

まずは、粉体塗装がどのような塗装方法なのかについて見ていきましょう。粉体塗装とは、細かく砕いて粉末状にした塗料を使った塗装方法の総称であり、別名「パウダーコーティング」とも呼ばれています。

通常、塗料は発色させるための「顔料」、被塗物に性能を付与するための「樹脂」、また塗料や塗膜の品質・性能を調整するためのフィラー、硬化剤などの「添加物」が含まれています。

これに加え、溶剤塗料や水性塗料等の液状の塗料には上記3つの主成分を溶かすための有機溶剤や水が含まれていますが、粉体塗料には含まれていません。粉体塗料は基本的に顔料、樹脂、添加剤だけを粉末化したもので、以下いずれかの方法で被塗物に付着させるのが一般的です。

静電粉体塗装 プラス電気を帯電させた被塗物に対し、マイナス電気を帯電させた粉体塗料を専用ガンで吹き付け、静電気同士が引き合う力を利用して塗料を付着させていく方法。

粉体塗料のうち、一度硬化すると再加熱しても軟化することのないフッ素樹脂、ポリエステル等を含む熱硬化性粉体塗料が使われる。

流動浸漬塗装 圧縮空気によって粉体塗料を流動させておいた容器(流動浸漬槽)に、あらかじめ加熱しておいた被塗物を入れ、その熱で素材表面に塗料を付着させていく方法。

粉体塗料のうち、再加熱することで軟化・溶解可能な塩化ビニルやポリエチレン等を使った熱可塑性粉体塗料というものが使われる。

被塗物に粉体塗料を付着させた後は、熱風式乾燥炉という窯に入れて200度前後の高温で焼き付けて塗料を溶かし、硬化させて塗膜を作ります。このように、粉体塗装を完了させるには熱風式乾燥炉での焼付乾燥の工程が欠かせません。そのため粉体塗装も、広い意味では焼付塗装の一種だと言えるでしょう。

なおムラカワでは、粉体塗装のうち静電粉体塗装に対応している他、4種類の塗料を使った焼付塗装にも対応しています。

当社で対応できる主な塗装内容や強み、また各工場における基本的な設備の情報については、ムラカワの事業内容のページよりご確認ください。

粉体塗装できる素材は「金属」がメイン

ここまでに見てきた通り、粉体塗装を行う素材には帯電できること、そして200度前後の高温に耐えられることが求められます。そのため粉体塗装が実施可能な素材は、帯電性・耐熱性ともに高い金属製品がメインになると理解しておきましょう。

【関連記事】焼付塗装と粉体塗装の違いって? それぞれの特徴やメリット・デメリットは?

製品に粉体塗装を施すことのメリット

製品に粉体塗装を施すことのメリット

粉体塗装の方法や特徴について理解できたら、ここからは、製品を粉体塗装することのメリット・デメリットについて紹介していきます。まず、粉体塗装のメリットとしては、以下の3つが挙げられるでしょう。

粉体塗装のメリット①VOCが出ないため環境に優しい

溶剤を含まない粉末塗装用の粉体塗料は、地球環境や人体に悪影響を及ぼしたり、大気汚染や水質汚染、火災の原因にもなると言われるVOC(揮発性有機化合物)をほとんど発しません。

そのため、粉体塗装は地球と人体の双方にとって非常に有害性の低い塗装方法だと言えます。

この点は、製品づくりにおいて地球環境への配慮やSDGsへの取り組みを重視している企業様にとっては、魅力的なメリットとなるでしょう。

粉体塗装のメリット②塗膜が厚く、耐候性等の性能が高い

一般的に塗膜は、厚ければ厚いほど耐食性や耐熱性、耐久性等の製品・金属表面の保護性能を高められると言われています。粉体塗装では、塗膜の標準的な厚みが60ミクロンと溶剤塗装のおよそ2倍となるため、1回塗りだけでも被塗物に高い保護性能を付与することが可能です。

また耐食性が高いために、溶剤塗装と比較すると錆や剥がれが起こるリスクも低いとされていて、塗り替え頻度が少なくて済むという特徴もあります。

とにかく汚れや錆、熱、傷に強い耐久性に優れた塗装を行いたいという方や、屋外など過酷な環境での使用を想定した製品の塗装法を探しているという方には、粉体塗装はメリットの多い手法だと言えるでしょう。

粉体塗装のメリット③塗装効率が良いためコスパも良い

粉体塗装に使用する粉末状の塗料は、液状の溶剤塗料に比べ塗着効率が良いとされています。

塗着効率とは、塗料の使用量に対して、実際にどのくらいの塗料が被塗物に付着したかの比率のことです。塗着効率が高いということは、少ない塗料でより効率よく、広範囲に塗膜を形成できるということになります。

また、熱可塑性粉体塗料を使って粉体塗装を行う場合には、一度使用した塗料を回収して再利用することも可能です。

効率よく塗装できる上、塗料の回収・再利用も可能でロスが少なく、さらに塗り直しの頻度も少なくて済む粉体塗装は、コストパフォーマンスの面でとても優れた手法と言えるでしょう。

【関連記事】焼付塗装の料金って?価格を決める要素や見積りについて解説

製品に粉体塗装を施すことのデメリット

製品に粉体塗装を施すことのデメリット

対して、粉体塗装を行うことのデメリットとしては、以下の3つが挙げられるでしょう。

粉体塗装のデメリット①薄い膜厚での塗装には向いていない

先ほども述べたように、粉体塗装は膜厚の厚い塗装を得意とする手法です。粉体塗装で塗膜を薄くするには、粉体塗料をより細粒化させる必要があるのですが、粉体塗料は一定以上細かくすると静電反発が起こり、塗着効率や塗装作業性が低下するリスクが高くなってしまいます。

具体的には、30ミクロンを下回るような薄膜での粉体塗装は非常に困難であり、塗膜に求められる性能を確保できない可能性が高いため、基本的に行われていません。

もし、製品や素材の性格、用途から薄い膜厚で塗装する必要があるという場合には、粉体塗装ではなく、溶剤塗料を使った焼付塗装などを採用するのが望ましいでしょう。

【関連記事】ムラカワで扱う焼付塗装の種類とは?塗料それぞれの種類の特徴について解説

粉体塗装のデメリット②膜厚の厚みによる扱いにくさがある

厚い塗膜は、被塗物の素材や製品表面に高い保護性能を付与しますが、同時に以下のような「膜厚が厚いことによるデメリット、扱いにくさ」の原因にもなります。

  • 塗膜表面に凹凸が現れるゆず肌、ピンホール、額縁現象などの不良が発生しやすい
  • 色調の細かい調整がしにくいため、溶剤塗装に比べるとカラーの選択肢が少なくなる
  • 塗り直すには一旦すべての塗膜を剥離する必要があり、溶剤塗装に比べ手間がかかる

製品に粉体塗装を実施するかどうかを決める際には、塗膜が厚いからこそ生じる上記のようなデメリットもしっかりと理解した上で、検討する必要があると覚えておきましょう。

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粉体塗装のデメリット③専用設備のある工場でしか実施できない

粉体塗装を行うには、粉体塗料と塗膜を乾燥・硬化させるための大型の熱風式乾燥炉、そして被塗物に塗料を付着させるための専用の機材(スプレーガンや流動浸漬槽)が必要です。

そのため、粉体塗料はこれらの専用設備がある塗装業者の工場でしか実施できません。必要な設備を持たない塗装業者や、現場等の屋外での施工は原則不可能ですので、依頼する場合には注意しましょう。

なお、塗装経験が豊富な職人を多数抱えるムラカワでは、手吹き塗装にて静電粉体塗装を実施しております。お客様のご要望や製品の用途に合わせ、100ミクロンを超える膜厚の粉体塗装や短納期での出荷にも臨機応変に対応いたしますので、製品の塗装方法についてお悩みの場合はぜひ一度ムラカワまでお気軽にお問合せください。

静電粉体塗装に関する各種ご相談は、確かな知識と技術の「ムラカワ」まで!

ムラカワでは広島市安佐北区を拠点に金属焼付塗装やメラミン塗装をはじめ、アクリル塗装、ウレタン塗装、フッ素塗装、粉体塗装などさまざまな塗装に対応しています。

最新機械にも負けない職人技で、目指しているのは世界一の塗装屋です。
「確かな技術で明日を彩る」をモットーに、日々社員一人一人が塗装の知識を深め、技術や品質の向上を求めながら適正価格でお客様が信頼できるサービスを提供するよう努めています。

「こんな特殊塗装をお願いしてみたい」「大量の塗装に対応してほしい」など、ご要望に沿った提案をさせていただきますので、どんなお問い合せでも気軽にご相談ください!